高校1年で進路希望調査だかなんだかを出さなきゃいけない時、いきなり人生を真っ二つに分断されるのが、文系 or 理系問題である。

世の中にはこんなにも多種多様な学部学科があるのに、それをザックリ文系と理系に分けて、さあこのあとやり直しはきかないけどどっち選ぶ?と迫るのは今にして思えば結構酷だなと思う。中1のとき入学し早々隣の席の勉強できる男子(のちに生徒会長・成績学年トップ・バスケ部部長)に「大学は何学部に行くつもりなの?」と聞かれて「え……?普通科?」と答え「大学に普通科なんてないよ」と半笑いされた思い出があるんだけど、はっきり言って中1の時点で何学部に入ろう!とか目標定まってるやつの方が気持ちワル……もとい希少であって、なんなら高校生になってもやっぱり決まってない人の方が多いんじゃなかろうかと思う(私だけ?)。

とはいえ、差し迫ってどっちかに決めなきゃいけないので、とりあえず「私立文系コース」とやらに決め、結局なぜか芸術学部という文系でも理系でもない大学に行ってしまった私。まあ「私立文系コース」とやらにいったお陰で受験に関係ない科目である美術がしっかり授業に組み込まれており、たまたまうちの高校には美大進学に熱心なお偉い先生がおり、高2の終わりに志望校出せと迫られた折にぽろっと「美大」と言ってそのまま美大に行ってしまったわけだから、「私立文系コース」でよかったんだろうけども。

でも実はけっこう理系の話は嫌いじゃない。

文系とはいえ一応理科の単位は要るので「化学」「生物」「物理」「地学」のいずれかを選ぶ必要があり、いちばん計算がいらなさそうだった&目新しかった地学をチョイスした。まあ、蓋を開けてみれば、地震の初期微動から主要動の到達時間の計算とか星の距離だの質量だのの計算のために10のx乗とか炭素年代測定法の半減期とか謎の計算をガシガシやる羽目になっちゃったんだけども、でも、天文学や古生物学(絶滅した生物とか過去の地球環境とかを学ぶ)も浅く広くカバーしており、受験に関係ないから~という気安さも手伝って、単純に知的好奇心を満たす授業として楽しかった。マイナーなのでクラスも少人数(20人いないくらい)だったのも陰キャ的には良かったんだったんだと思う。

そんなこんなで、話は大きくそれたけど、大人になってからも理系な本を読むのは楽しい。計算ないし。

ということで、TwitterのTLで流れてきたこの『宇宙はなぜ「暗い」のか』を読んでみた。なかなか素敵なタイトルだ。宇宙はなぜ暗いのかなんて、私は考えたこともなかった。だって暗いんだもん。だから、「なぜ暗いのか」と問うこと自体が分からなかった(どちらかといえば、宇宙は暗いのがデフォルトで太陽みたいに明るいのが特異なんじゃないかと)。宇宙はなぜ暗いの?と問うということは、逆に宇宙は本来明るいはずという前提に立っているからだ。そもそも宇宙が明るいはずって思うのはなぜだ? という一つ前の話から私の頭は始まることになる。

この本は宇宙がなぜ暗いのか? という話のみならず、そもそも「明るさ」とは何か? 星を観測するには何が障害でどう克服するか? という話など、天文学の基礎が平易に書かれていて「へー」と思うこともしばしば。である一方、へ? どういうこと? と置いてけぼり感を感じることもちらほら。スミマセン、高校の地学の知識なんか遙か彼方にきれいさっぱり消え去ってるみたい。

でも、分からないことがちょいちょいあるとしても、総じて面白かったです。たぶん賢い人には常識なんだろうけども、例えば人間は…というかあらゆるものはすべからく、温度に応じて光(電磁波)を出している、なんて知らなかったよ私。もしかするとどこかでかつて習ったかも知れないんだけど、たぶん全く頭に入らずスルーしてた。人間が光を発してるのにその光が見えないのは単に温度が低すぎて(36℃とか37℃とか)可視光線より波長がもっともっと長い光(赤外線)なので私たちの目には見えないという話で、決してオカルトではない。赤外線とかプリズムとか大学の色彩学でやったけど、アレもまったく頭に入ってこなかったなあ。可視光線は「せきとうおうりょくせいらんし(赤橙黄緑青藍紫)」その外側が赤外線と紫外線。そうか人間も光ってるのかあ。ていうかそもそも光って何だ?

なんかその、実感として腑に落ちないものに対する防衛みたいなものが随分こりかたまっとるな……という気づきがあってよかった。数学や物理って純粋に概念の話になるので、基本的に実感なんて持てないものなのかもしれないけど(身近に理系の人がいないので聞いたことがない)、そういう実際体験することは不可能なんだけど存在は証明されているものっていっぱいあるんだなと。そう考えると、いま「ない」とされているものも、実は測定されていないだけで実際には存在するんじゃないかなとか。考えるとおもしろい。

こういう本の話は知らなくても勿論生きてはいけるんだけど、でも知らない世界の話は単純におもしろいし、ちょっと周りを見る目が変わる気がする。うーん、まあ、すぐに忘れるのかもしれんけど。

ということで、高校生の時点で理系とは一端袂を分かったけども、あくまであの時は理系受験とサヨナラしただけで、理系の話もやっぱりおもしろいしもっと知りたい。まあちょっと頭が足りなくて十全に理解できなかったのは切ないところだけども、懲りずにこういった本を読みたいと思う。